
インドネシアでは、「木材屋、商社の行くところ、真珠屋あり。」と言われるほど、南洋真珠の養殖場開拓の歴史は古く、展開されている地域もほとんどインドネシア全国と言っていいほどです。戦前からスラウェシのブートンという地域で始まり、現在、もっとも南洋真珠の養殖場の多い地域はドボ、ロンボック、スラウェシという順です。インドネシアの水産総局に登録されている養殖会社の数だけでも約80社(日系、現地系)にもなります。
長くインドネシアに住んでおられる方でも、インドネシアで南洋真珠が生産されていることは知っていても、その真珠にお目にかかる機会は少ないと思います。それは、すべての真珠の加工、卸売のマーケットが神戸と香港にあり、インドネシアで販売されることなくほとんどが輸出され、神戸、香港に買い付けに来る世界中のバイヤーによって各国に再輸出されるためです。
バリの空港やジャカルタの町の真珠屋で見かける真珠は、インドネシア産と思っておられるなら、ご注意の程を。私の見る限り、殆どの商品は中国産の安価な淡水真珠です。特に、たちが悪いのがバリの空港の土産物屋、からかいついでに、店員に「これはどこ産?」と尋ねると、「これは、ドボ産の南洋真珠。」と言ってのけるありさま、そこで悩んで、よーく考えると、この商品がどこ産かなんてどうでもいい気のいいインドネシア人だと気づいたのでした。

南洋真珠の養殖は、水深20〜70m位の波が静かで、潮が適度に入れ替り、白蝶貝の生息や、餌になるプランクトンの確認される湾や海峡で行われています。
もちろん、日本の真珠養殖でも経験したことですが、一つの養殖場に貝をたくさん置き過ぎたりすると自然のバランスを狂わせて、何年も掛けて育てた貝と真珠を自ら失うことになります。
養殖の過程をご紹介します。もし、あなたが今年から南洋真珠の養殖事業を始めようと思われるなら、真珠ができるまでにどれ位期間が掛かるのか、それぞれのプロセス毎に(括弧)の中に年月を示しておきます。いかに気の長い事業かご理解頂けると思います。
浜揚げ後、真珠を取り出した貝に、再度、挿核をする場合があります、それを直入と呼びます。
南洋真珠の種類には白蝶真珠、黒蝶真珠があり、白蝶真珠はインドネシア、オーストラリアで、黒蝶真珠はタヒチで養殖されています。
インドネシアで生産される白蝶真珠の品質(属性)を分類してみましょう。サイズ、形、色、テリ、巻き、キズという6つの属性の組み合わせにより品質が決定されます。価格は、品質により規定されますが、卸売り市場での相場で上下します。
9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm
その他の属性が同じであればサイズが大きいほど生産するのが難しく価格も高くなります。
さらに小さなサイズでは、ケシという、核の代わりに異物の周りに真珠層が巻いてできた真珠もあります。
さらに大きなサイズでは、直入という方法で15mmを超える真珠を作ることも可能です。。
ラウンド:真円
オーバル:均整のとれた楕円形
ドロップ:月の涙といわれる形
ボタン:真円を少し押しつぶした形
サークル:周囲に直線的な筋の入った、コマのような形
バロック:動物など何かにたとえることができるような個性的な形
シルバーピンク、ゴールド、シルバー、シルバーグレー、クリームピンク、イエローがあり、好みの問題です。
真珠表面の境面性、真珠層の均一性に起因し、視覚的判断でテリ、中テリ、ボケと大まかに分類されます。
真珠層の厚さに起因し、深みや重量感といった視覚的判断で良し悪しが決定されます。
自然の産物ですので、人の顔の表面と同じように、多かれ少なかれ、必ず、どこかにキズがあります。その度合いで良し悪しが決定されます。
インドネシアでは、日系と現地系と比較して品質に著しく差があります。現地系の経営者は中華系が多く、目先の利益に走り、自然とのバランスを考えた生産量の調整、品質の追求の為の技術研究、従業員の教育といったことを怠っているためです。
海面養殖業の許認可制度が整っていません。地方政府が、もともと、漁業許可をベースに推薦状を乱発していた経緯があり、海面養殖業が適地を決定するまでにいかに多くの試験養殖場が必要かということ、また、都市汚染、近接する海面養殖場により大きな影響を受けるため、いかに広大な領域が必要かということが理解されていない結果です。
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